ボ ラ

徳島では、小さいのはイナ、40cmくらいからをボラと呼んでいます。小さいのは波止のアジ釣りの外道としてサビキで釣れる時があり、余り好まれない魚のようです。汚れた水にも生息し、体が白く変色したりして、公害の影響かと思われるような魚体が多いせいでしょう。しかし、これはボラの生命力の強さを物語っているのかも知れません。
都市部の汽水域に住むボラはこう言った魚体が多く、食する気は失せますが、綺麗な水域に住むボラは独特の味があり絶品です。昔は(40年も前ですが)スピニングリ-ルが出る前、河口のボラを釣るのに、太鼓リ-ルで他の人より出来るだけ遠くへ浮きを飛ばすのが、ボラを釣る秘訣でした。スピニングリ-ルとアタミウキが登場して、これは解消されましたが、当時、ミミズの餌で胸踊らせて釣ったのを覚えています。夏、夕立ちで雷が鳴れば荒喰いし、ウキコ(ゴカイの卵ですかね)が浮くと入れ喰いになり、身近に出来る釣りとして大人気でした。水が綺麗だった昔、釣って良し、食べて良しの最高の魚でした。
最近はチョンガケと言う疑似餌による釣りが行われています。冬、眼に脂の回ったボラがゴムで作った疑似餌(ウキコに似せている)に寄ってくるのを引っ掛ける釣りです。この釣りは技術の差で釣果が大きく変わります。ボラが引くのを待っていては釣れません。我々は「もたれる」と表現するのですが、常時揺らしている10mもある竿先が僅かに、ほんの1cmも止まれば掛け合わせます。このボラが「もたれてきた」見極めには年期が必要です。お年寄りの釣りとして人気がありますが、若い(?)私も大好きです。
ボラは3種類あるようです。写真は普通のボラです。「朱口」と言われるボラがいます。我々は「シクチ」と呼んでいますが、口先が少し赤く、頭が普通のボラより細く尖り、ウロコも小さい気がします。こちらの方が美味しいと言われますが、最近では余り釣れず、少なくなりました。それと、あと一つ、「アカメ」と呼んでいるボラです(有名なアカメではありません)。体色が少し黒っぽい黄色で、眼も黄色、ウロコは少し大きめのボラです。最近での汽水域では多くいますが、昔はこんなボラは全くいませんでした。一体、何処から来たんでしょう、養殖の稚魚に混じって外国から来たのでしょうか、不思議な魚です。普通のボラより体長は細長く、大きくなります。魚の美しさから言えば、普通のボラには及びません。公害に強いボラの代表みたいです。
磯で釣れる大きいボラ(60cm以上)は釣りの対象になります。ずっしりと重いパワ-ある引きは、しばらくの間、周囲の釣り人の眼を引きます。私は磯でボラが回れば必ず釣ることにしています。綺麗な海のボラは臭みもなく、身は引き締まり、タイに似た身は、冬などタイ以上に美味しいと思います。「寒ボラ」と言われる所以が解ります。時折、卵を持っているのが釣れる時があります。いわゆる「カラスミ」です。燻製にするより、新しいのをそのまま食べるか、煮ると酒の肴には最高です。釣り人しか味わえない至極の味であります。それと、厚い肉壁に被われた胃、薄造りにするとこれまた最高、また酒が進みます。
なんだか、食べる話ばかりで、でも、ボラは大好きです。(写真は徳島新聞社発行の「徳島の海釣り」より)
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